Youtuber &靴職人の「かわぐつのケン」さんに整形靴を作りました!!!

Youtube

こんにちは。

福岡の靴作る人「NORI」です。

今回は、Youtuber &靴職人の「かわぐつのケン」さんに整形靴を作らせていただいた話をまとめていきます。

神戸医療福祉専門学校三田校の整形靴科在学中、特別講師としてお話に来てくださった時に『整形靴を履いてみたい!』と言うことで、作らせていただきました!

是非最後までご覧ください!

「かわぐつのケン」とは?

本名は菱沼乾(ヒシヌマ ケン)さん、年齢は28歳で私と同い年です。

革靴が大好きでしょうがないことから、建築関係のお仕事を辞められて靴職人になられた方です。ブログの方から少々引用しますね。

革靴の魅力から逃れることができず、靴職人になることを決意しました。

靴職人としてハンドメイドの革靴を製作しながら、ブログやYouTubeで革靴に関する情報を発信しています。

世界一の靴職人になることと、革靴の魅力を広めることを目標に日々修行中。

引用元:革靴に関すること(自己紹介)

現在は、「かわぐつのケン」として靴作り、靴修理、靴磨き、靴紹介などを発信するYoutubeチャンネルを運営しつつ、靴作りをされています。所ジャパンと言う所ジョージさんの番組に出た事をきっかけに多くの方にかわぐつのケンさんの存在が広まったのではないかなと思います。その時に製作された靴がこちらです。(野生爆弾のクッキーさんのために製作された一足です!)

また、「khish the work」と言うブランドを立ち上げて既成靴の販売もされています。(現在はサンプルを製作中で次の販売は未定なようです。)合計6足を展示会で展示したのち、抽選とオークションという形で販売されていました。個人的に好きな靴はこちらです。

各種SNS(Instagram、Twitter)やブログでも、革靴に関することを発信されています。


かわぐつのケンさんのInstagram


ブランド「khish the work」のInstagram


かわぐつのケンさんのTwitter


ちなみに以前は、「モリジン」と言うアウトドアやDIY、靴作り、山暮らし、植物紹介(ビカクシダ)などを発信するYoutubeチャンネルを従兄弟と二人で運営しつつ、靴づくりをされていました。この時は、毎日投稿をされていました。私は毎日楽しみに見ていたため、その時はモリジンさんとともに暮らしていたと言っても過言ではありません。笑

かわぐつのケンさんに作る整形靴

さてさて、お待たせしました。実際にかわぐつのケンさんに作った整形靴の紹介をしていきますね!

足や膝のお悩み

お悩みはなし!!!とのことでした。笑

ただ、過去に踵部分に痛みが生じ、革靴が履けないような問題が生じたとのことでした。(完治済)

身体の評価

両足共に結構がっしりとした足をされていたり、外反扁平足(簡単に説明すると、土踏まず部分のアーチの低下と踵骨の内倒れ)の疑いがあるような足をされていました。医師ではないため、診断はできませんが、、、

他にも立ち方の癖足関節の可動域(どのくらい足が柔らかい・動くかを見る)等を確認しましたが、大きく問題があるということもなかったかなと思います。

ということで、今回はインソールで縦のアーチを支えてあげるけど、痛くはない(矯正しようとはしていない)ようにしようとしました。

かわぐつのケンさんの要望

大きく4つの要望をいただきました。

  • オールブラック
  • ウェッジソール(ウェッジはクサビという意味。つまり、靴底は全面設置しているような形)
  • プレーントウのブーツ(つま先形状の種類の一つ)
  • その他はいい感じに

完成した木型

水に濡らした石膏包帯を足に沿わせると、ものの5分ほどでカチコチに固まります。そのため、固まるまでに足の形をしっかりと取れるように、なでなでして沿わせます。(時間との勝負ですね。慣れるまでは、とっても焦ります。笑)また、水を使用するか、お湯を使用するかで固まる速さが異なります。どちらが早く固まると思いますか?

、、、

、、、

お湯です。(ためて言うことでもないですね。笑)

完全に固まる前に足から外して、足の型を完成させます。(かわぐつのケンさんの動画にわかりやすくまとまってます。こちらからどうぞ!

型ができたら、型の中にシリコン(離型剤用)を流し込み、乾かします。これが、大体1時間。。。結構かかります。笑

離型剤のシリコンを流し込む様子

その後、発泡樹脂を流し込み、石膏の型を外せば足のモデルが完成します。

発泡樹脂の複数材料を混ぜ合わせる様子
足のモデル(ツルツルなのはシリコンが
付いているからです)

足のモデルは、本当に足をそのままコピーできているだけなので、靴の形にするべく削り・盛り修正を行います

削り修正というのは、足のモデルで必要のない部分、削っても問題ない部分を削ることです。また、整形靴にはインソールを搭載しています。そのインソールには足の裏からアーチを支えるための凸があります。その凸を再現するために、木型に削りを行います。

盛り修正は、つま先を延長したり、骨や筋肉等のことを考えパテや革等を盛ることです。また、つま先を延長させることでデザイン的な意味合いもありますが、捨て寸と呼ばれる歩行時に足の指が靴の先端に当たらないようにするための空間を作り出すことをしたりもします。

これら修正では、シリコンは邪魔になるためはじめに全て削り落とします。(シリコンは、石膏を剥がしやすくするためだけのものなので!)下の写真を見るとツルツルがなくなっていると思います。

つま先の延長用の樹脂を流し込む様子

木型を完成させて、木型がかわぐつのケンさんの足に合っているのかをチェックするためのチェックシューズを製作します。

インソールをつけて木型のフィッティングを確認します

今回はそのチェックシューズを郵送し、オンラインでフィッティングを確認させていただきました。それをもとに、木型を修正しました。

完成した木型がこちらになります。

製作した木型です

グレーやホワイトの部分がパテで盛り修正されている部分です。ブラウンの部分はグミコルクと呼ばれるものを使用しています。くるぶしから上の部分の傾き加減を修正するのにちょうどいいため使用しています。

サイドアングル
バックアングル

この木型製作は、足の型取りしたモデルを元にそこから靴にした時のことをイメージして、足の形をしたものから靴の形にしていくことになります。そのため、靴の完成イメージが非常に大切になります。

私はイメージが得意!!

と言う訳ではないため、毎回かなり苦労しています。さらに、左右の形をパッと見て変じゃないように整える必要があります。やること・考えることはたくさんありますが、これが難しい。何度も繰り返しやるしかないですね。

完成した整形靴

まずは木型を抜く前の写真を色んな方向から見てみてください。

フロントアングル
バックアングル
インサイドアングル
アウトサイドアングル
トウ(つま先)の形は、ぼてっとしないようなラウンドトウ
靴底はこんな感じ

続いて木型を抜き終わった写真を見てください。

フロントアングル
アウトサイドアングル
バックアングル
少しアップアングル

いかがでしたか??

今回かわぐつのケンさんは、特に足にお悩みがないとのことで、パッと見でなるべく普通の靴と遜色ないようなブーツができたのではないかなと個人的には思います。(もちろん、よく見たり、見る人によっては「いやいや、ボテッとしてるし整形靴っぽいよ。」と思われるとは思いますが。。。)

また、くるぶしの形やくるぶしから上の傾きがしっかりと再現されているため、履いた時のアッパーのシワが変に入らなかったり、踵の食いつきが良くなると考えています。

今回アッパーに使用した革は、アメリカのタンナーであるホーウィン社の「クロムエクセル」と呼ばれるオイル系の革を使用したことで、かなり良い雰囲気が出たかなと思います。

靴好きの方なら気になるであろう製法に関しては、整形靴や一般に売られている靴でよく用いられるセメント製法です。保険適応の問題で納期やコストを意識しなければならない整形靴では、製作のスピードも大切なことになります。そのため、接着剤を用いるセメント製法を採用しています。(もちろん軽さと言うところも考えています。動画でもかわぐつのケンさんが言っていますが。)

続いて、インソールを見てみましょう!

色々とサポートをつけていますので、順に説明しますね。

製作したインソール

大きく分けて4つの機能を補助しています。少しみにくいかもしれませんが下記写真と表をみてください。

各種サポート
マークサポート
ドット内側縦アーチを支える役割
ボーダー横アーチを支える役割
チェック踏み返しが楽に行えるようにする役割
ギザギザ立方骨を支え、外側縦アーチを支える役割
各種サポートの説明

これらのサポートは、単につけるのではなくその人その人の足の状態に合わせて設計していきます。

適合(フィッティング)

実際に工房に伺い、靴を履いてもらいました。(工房訪問については別にまとめます!)

フロントアングル
バックアングル
アウトサイドアングル

この辺がめちゃくちゃ悪いなんてことは、立っている時・歩いている時でともにありませんでした。ただ、縦のアーチ部分に少し違和感を感じていたため、クッション材を使用してインソールの調整をしました。

この調整で違和感は、少なくなったようでしたので今回はこれにて納品とし、今後履いていて何か問題があればフィードバックをもらうようにしました!

この整形靴に関するYoutube動画!

今回の整形靴の製作過程をわかりやすく動画にしてくれています!

こちらも是非見てみてください!!(私はもう何回見たのかわかりません。笑)

友人からもかなり好評で、「見たよ!すごいね!」なんて言葉をたくさんいただき、もっと頑張ろうと強く思いました!!!


▼前編「足の型取りと木型作り」▼

【靴作ってもらう】石膏で足型をコピーして靴にする!整形靴のできるまで【前編】

見たこともないような立派なカメラを向けられての作業、、、かなり緊張しています。笑


▼後編「整形靴の製作と完成」▼

【靴作ってもらう】整形靴が完成したので届けてくれました!履き心地最高です

実際に工房の方に伺い、製作した靴をお渡ししにいきました。フィッティングが直接確認できてよかったです。


また、整形靴って何??についても動画にしてくれています。

これを見れば、あなたも整形靴について興味が湧くはずです!

整形靴の解説動画▼

【整形靴】医学的に足に合わせる革靴|整形靴の木型や材料、作り方解説

この動画に登場している「吉田先生」にかわぐつのケンさんの整形靴作りのアドバイスをいただきながら完成させました!義肢装具士の資格を持っている先生で体のことに関する知識や経験もすごいのですが、靴作りの技術も素晴らしくて、尊敬している先生です!この春から独立されるみたいなので、いつか改めてご挨拶に行かないとです!!


母校の紹介も動画にしてくれています。

残念ながら、今年度の入学者までで一度募集を締め切るようです。学生が集まらず、一度体制等を改めて考え直す期間を設けるためのようです。

学校の紹介動画▼

日本唯一の整形靴科に行って足と靴の専門知識を学ぶ!神戸医療福祉専門学校三田校

ここによく写っている「吉田くん」は、同い年ですが一学年後輩で、一番仲がよかったです。北海道出身のイケメンです!彼の紹介は、また別に記事にしようと思いますので、お楽しみに。


三田校で整形靴を学ぶことがなければ、なかなかこのような機会は得られなかっただろうなと思います。

貴重な経験をすることができました!

まとめ

いかがでしたか?

今回靴作りを機会を下さったかわぐつのケンさんには本当に感謝しています。ありがとうございました。

今後も、また一緒に何かができたらいいなと思ってます。

また、この靴作りで私自身も色んな面でステップアップすることができたなと感じています。まだまだ未熟者ではありますが、これからも私のペースでコツコツと頑張っていきたいです。

最後はお気に入りのスマイル写真で!

それではまた!

お互いに製作した靴を持って。ハイ、チーズ♪