超がつくほどお久しぶりです。
福岡の靴作る人『NORI』です。
またまた、更新が疎かになってしまい、反省しています。
。。。。
さ!切り替えていきましょう!!
今回は年一回開催される「ジャパンレザーアワード」に靴を出展したのでその報告と結果をお伝えしようと思いまして記事を書いていきます。
よろしくお願いします!
ジャパンレザーアワードとは
私の認識では、国内でなめされた革を使用した作品(靴、鞄等)を全国の作家さんから集めて展示する。そんなイメージです。隠れた才能を発掘しましょうよ!みたいな感じですかね。
今年で15周年を迎えるジャパンレザーアワードは、国産のなめし革などを使用した作品を対象とする日本最大の革製品コンペティションです。革を用いた製品の、新たな可能性を見出すアワード、このアワードを通じて、新たな”発想·表現”のできる人材の発掘と育成に取り組んでいます。
引用元:ジャパンレザーアワード2022について
どなたでも出展できるのでどんどんチャレンジしていきましょう!みんなで皮革業界を盛り上げることができるといいですよね。(応募プロセスはこちらから)
出展した靴
私が今回出展した靴がこちらです。(フットウェア部門のベストプロダクトで出展)
題して、
『Japan cha cha shoe 2022』
です!!!(こちらから360度ご覧になれます。)
去年は『Japan cha cha shoe』という靴を学生部門で出展しました。
今年も変わらず、「日本を足元から応援したい!」という気持ちを込めて、制作させていただきました。
また今回は、作品に添えるポストカードなるものを作りました。(去年は作りませんでした。)

どうですかね??初めてこう言ったものを作りました。
やっぱり、ただ作ったものを展示してもらうだけというのは、もったいないなと考えて一生懸命作りました。
結果
残念ながら、何も賞はいただけませんでした。
また、来年チャレンジします!!!
と私の結果は以上なのですが、注目した作品を3つだけ紹介させてください!
まず一つ目。
フリー部門のフューチャーデザインで出展されていた作品『䩤 – koku –』です。(こちらから360度ご覧になれます。)
「靴は木型が入っている瞬間が1番綺麗なのではないか?」と考えられたことから生まれた作品のようです。
足に合わせて木型を作ると綺麗な靴にならない。なんてことは整形靴を学んできた時によく聞いた言葉です。だからなのか、この言葉がザクッと胸に刺さったので、印象に残っています。笑
さて、二つ目。こちらが本命の注目株です。
フットウェア部門のフューチャーデザインで出展されていた作品『ビスポークシューズver 2.0 〜伝統技法×最新技術で挑む世界市場〜』です。(こちらから360度ご覧になれます。)
「良い物」とはこういう物なのではないのか?と思わせてくれる作品のような靴です。実物を見にいきたかったと素直に思います。こちらは、LIGHTBULB(@lightbulb_tokyo_official)というブランド名で、今後世界の靴業界に革命を起こしそうな予感を感じています。以下、この靴の制作に携わった方々です。
木型のデザインを野口達也さん(@zucchinitatsuya)
木型の制作を株式会社トミヅカさん(@tomizuka_co_ltd)
革をVARIEDさん(@varied_jibie_leather)
シューツリーを八槻木工所さん(@yatsukiwoodworks)
靴製作を外林 洋和さん(@yome_sen_shoes)
野口さんとは以前にお会いしたことがあり、大変多くのことを勉強させていただきました。その時のことをまとめた記事がこちらです。
VARIEDさんは、私も今回お世話になったジビエレザー専門店です。私は鹿革を使用させていただきましたが、LIGHTBULBさんは猪革を使用しています。
外林 洋和さんことヨメセンさんは、Instagramやtwitterでいつも靴を拝見させていただいてた方です。非常に美しい靴を作られており、尊敬しています。(いつかお会いしてみたいな。笑)
そういえば以前、かわぐつのケンさんの動画で野口さんと外林さんのコラボ動画がありましたね。興味深くて何度か見返したのを思い出しました。その時の動画はこちらです↓↓↓↓↓
そして最後の三つ目。
学生部門で出展されていた作品『”猪鹿蝶”ボタンブーツ』です。(こちらから360度ご覧になれます。)
こちら同い年なんだけど、三田校整形靴科の後輩君の作品です。在学中、一番仲良くなった方です!
いや、もう、学生のうちからここまでのもの作るなんて、、、
すごいよ。笑
負けられないな!!!そう思わせてくれる作品でした。
靴の誕生秘話
誕生秘話なんて大したことはないのですが、いろんな思いを持って制作したため、是非見てってください!笑
コンセプト
コンセプトはもちろん
『日本を足元から応援したい!』です。
このコンセプトは、ある方の夢をリスペクトして生まれました。靴磨きが好きな方は、絶対知っていると思います。
そう、長谷川裕也さんです。(@yuya.hasegawa.brift.h)
彼はずっと言い続けています。
“世界の足元に革命を”
私は革靴と出会い、靴磨きが好きになり、自然とお店に伺うことにことになり初めてお会いした時から、この言葉が胸に刻まれています。
そして今、靴を作る立場になり、私は靴を作ることでどうしたいのか?
そんなことを考える時があり、ふと彼の夢が頭をよぎりました。
そうだ!私の靴を履く人を笑顔にしたい。足元から笑顔を生み出したい。そう考えるようになったことがきっかけで、『日本を足元から応援したい!』というコンセプトが生まれました。
次にこのコンセプトを元にどうやって靴で表現しようと考えました。
革の選択とアッパーのデザイン決定
まず革の選択です。
白い部分には、去年使用した新喜皮革さんの馬革を
赤い部分には、ジビエレザー専門店「VARIED」さんの鹿革を選択しました。
ポストカードに「黄変する馬革✖️真赤な鹿革」と記載しました。真赤な鹿革はその名の通りです。日の丸の部分に使用します。では、黄変する馬革とは???
これは、純白に仕上げられている馬革が仕上がったその時点から黄色に変化していくことを意味しています。つまり、時間の経過でどんどん黄色に変化してしまうのです。デメリットともとらえられるこの特徴を理解した上で、国旗の白い部分に使用しました。
純白が黄変することは、現在の日本の取り巻く悪い部分(コロナの感染拡大やそれに伴う制限や我慢しないといけないようなこと等)を表現しています。
そんな悪い部分を一点の真っ赤な光がかき消してくれるような感じを日本の国旗に見立ててアッパー部分をデザインしました。
そのデザインですが、去年の靴は小さめの日の丸と大きめのJapanの「J」を施した短靴を制作しています。
今年はより日の丸を強調したいなと思い、チャッカブーツタイプにしました。
というのも、日の丸を大きくしつつ、国旗の白い部分もバランスよく大きくしたかったのです。また、「J」をデカデカとデザインするのではなく、パーツの切り返し部分で表現することでまず日の丸に目がいくようにしました。
しかし、「J」にも注目してもらいたいと思い、思いついたのが普段見せない革の肉面層と呼ばれる革の繊維がモロ見えている部分をしようすることにしました。(通常は革の銀面層と呼ばれるツルツルした面を使用します。)
そうすることで、「J」がデザインの一部として溶け込みつつもちゃんと存在感もあり、日の丸が強調されたと考えています。
また、肉面層を使用したのにはもう一つ理由があります。なんだと思いますか?笑
鹿革の肉面層は、繊維がしっかりしているようでしっかりしてない感じです。というか、繊維が剥き出しになっています。(革の端の方)さらに真っ赤な革のため、それが炎のように私は見えました。
黄変する現社会のモヤモヤ感を燃えるような熱い気持ちで、日本の足元から明るい未来をつくっていきたいな。そんな思いも込めて、肉面層を使用しました。
また、靴紐にも使用する事で鹿革は捨てるところがないんですよ!使い方次第でデザインにもなるんですよ!ってことを伝えたかったです。
底付けの製法
前回はセメント製法(接着で行う方法)でしたが、今回はダブルソーン製法(手縫いで行う方法)で制作しました。
ダブルソーン製法とは何だ??と思われた方のために、簡易図を用意しました。下記をご覧ください。

別名ノルウィージャンウェルト製法とも言われます。この製法は、ウェルトをL字に成形して2回縫う方法です。
2回縫うと書きましたが、こらが簡易図のすくい縫いと出し縫いです。
すくい縫いは、ウェルトからアッパーとライニング、インソールまでを縫いとめることを言います。
出し縫いは、ウェルトからアウトソールまでを縫いとめることを言います。
実際の写真を見てみると、、
縫いとめた糸がもろに見えています。これが、この製法の見た目の特徴です。
機能面に関して、水が侵入しにくいから登山靴等のワークブーツ向けなんて言われていますが、正直水が侵入しにくいなんてことわかりません。知ってる方いたら、教えてください。笑
機能面に関しては今回気にしておらず(展示用だからです。)、私はこの見た目が好みなんです。
ハンドソーン製法が一番難しいし、ウエストをくびれさせることもできたりと面白く、ドレス用の靴としては美しさも必要でかっこいいなと思うんですが、、、
ダブルソーン製法のこの見た目が良いんですよね。好きです。笑
という理由から、ダブルソーン製法で底付けを行いました。
また、ウェルトのギザギザ部分やコバ、ヒール部分が黒くなっている箇所があると思います。これは、黄変する馬革同様、現社会のモヤモヤ感を表現したくて、熱ゴテという工程で革を焦がしています。(通常は焦がしません。焦がすと、成分的にただの炭のようになってしまうためです。)
改めて靴を見る
靴の誕生秘話を聞いたところで、もう一度、靴をみてみましょう。
どうでしょうか??
あなたは何を感じましたか?何を感じたのか等の感想があれば、InstagramのDMの方で送ってくれると嬉しいです。
まとめ
いかがでしたか?
一つの靴ができるまでには、いろいろなストーリーがあります。
今回は、自分用の木型で出展する用の靴でしたので、自分で全てを決めて制作しましたが、本来なら、お客様がいて、足に合わせた木型を作り革やデザインを決めて制作することになります。
ということは、それぞれのお客様ストーリーが生まれるということです。
こんな素晴らしいこと面白いことにこれから挑戦しようとしている私を応援してくれる方、是非一度靴を作りに来てみてください!よろしくお願いします!
話をジャパンレザーアワードに戻しまして、このコンクール?イベント?は、毎年続けて出展しようと思います。私の作品を見てもらいたいという思いだけではなく、皮革業界が少しでも盛り上がればと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。次回の投稿では、『Japan cha cha shoe 2022』の制作風景の写真を元に、靴作りの流れをまとめたいと思います。
それではまた。
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