こんにちは!靴作り専門学生のNORIです。
今回は、現在在籍している学校で行われている卒業製作展示会についてです!本来であれば、大阪でスペースを借りて、来場型で展示会を行いますが、コロナ禍ということでオンライン配信(インスタグラムのライブ配信)限定で行いました。来場型とは違って、いろんな準備をし、当日の配信を行いました。
その準備の話や実際に展示している靴の話、そもそも整形靴とは何なのか?等を伝えることができればいいなと思いまとめていきます!是非、最後までご覧ください!
あ、それとこの展示会の内容について神戸新聞さんに取り上げていただきました!!
こちらもチラ見してみてください!
目次
神戸医療福祉専門学校三田校整形靴科とは?
日本で唯一整形靴技術を学ぶことができる学校です!
整形靴というのは、「足」や「膝」にお悩みや問題があり、市販の靴が履けなかったり、履くことができても歩く時に問題が生じる方などに対して製作された靴になります。
そのため、「立つこと」や「歩くこと」などの機能的な部分を補助するものになります。
2年間かけて、じっくりと整形靴技術を学ぶことができます。解剖学や運動学、リハビリテーション医学、義肢装具学、整形外科学などを通して医学的知識を身につけつつ、整形靴を製作するために必要な技術として下記を実技授業として行うことで自分のものにしていきます。自主的な製作は含んでいませんので、実際はこれ以上製作することができます。やる気次第ですね!!!
・靴修理(2〜3足)
・中敷製作(学校では、フットベットやインソールと呼びます。10足いかないくらい⇦記憶曖昧です笑)
・靴製作(卒業試験を含めて9足)
・接客販売(お客様の足の状態を見極め、健康靴を提案したりする授業)
・学外実習(実習先を自分で選択し、約1ヶ月間現場を体験することができる!)
また、靴はファッションの一部であることから、靴デザイン学や美術などを通してデザインのことも学ぶことができます。
靴製作9足は少ないのか?
靴製作が9足って少ないな。。。と思った方!私もそう思っていました。笑
しかし、実際にやってみるとかなりの時間を要することがわかり、なるほどなと思いました。
お客様の情報(お悩み、足・膝・腰の状態、身長、体重等)を聞き出し、採型・採寸と呼ばれる足の型をとり、そこから足の代わりとなる木型を製作します。ここではまだ足の形をした木型なので修正をして靴の形にしていきます。⇦ここでお客様の症状やお悩みを解消するために削り修正や盛り修正をおこなったり、つま先の形を整えます。
靴の形をした木型ができたら、中敷を作ります。この中敷は、整形靴の中でも非常に大切で、アーチを持ち上げることはもちろん、踏み返しのしやすいような転がりをつけるような加工をその人その人に合わせて行います。
中敷ができたら、木型の形が合っているのか、中敷のアーチを持ち上げる位置や高さが正しいのかなどをみるためにチェックシューズを製作します。よくオーダーメイドの靴で、本番の靴の前に仮靴と呼ばれる靴を履いて、履き心地を確認することをするんですが、整形靴製作ではそれがこのチェックシューズの立ち位置になります。このチェックシューズは、透明なプラスチックを熱で柔らかくし、それを木型にそわせることで、木型の形をした透明な靴が出来上がります。これを履いてもらい、歩いてもらうことで、修正点を見つけていきます。
そこから、修正の作業に入ります。修正が終わると、次は靴の設計図を完成させて、革を切り出すための型紙を製作します。ここまでやって、やっと革が登場します。笑
革を切り出し、漉き加工をし、縫い合わせていきますと、靴の上の部分であるアッパーが完成します。このアッパーを製作しているのと同時に、カウンターと呼ばれる踵の芯材を木型にそわせて、癖をつけておきます。革は水で濡らすと柔らかくなり、その状態で何かにそわせてお苦ことで形を記憶してくれ、乾いた後もその形を保ってくれます!
ここまでで製作した、木型、アッパー、カウンターを用いてつり込みという工程に入ります。簡単にいうと、アッパーを木型にそわせていく作業になります。また、つま先にも芯材のトウボックスと呼ばれる物を付けます。
あとは靴底やヒールを取り付け、木型を抜き、仕上げの磨きを行えば、整形靴が完成します。
しかし、ここでは終わりません!!!!!
ここから、適合をしていきます。製作した靴が本当にその人のお悩みなどの解消につながったのかなどを、実際に履いてもらい、立ったり歩いたりしてもらい、お客様の主観的意見や、自分の客観的意見をもとに判断します。
そこで問題がなければ、納品ですし、問題があれば、再度修正を行います。
少し長くなってしまったのですが、このような靴づくりを9足中5足行うため、作る足数が少ないなとなることは仕方ないと言えば仕方ないのです。他の授業もあるため、、、
ですが、学校で靴作りを学べば、あとは自主的に製作に打ち込めばいいので、あまり問題はないかなと個人的には思っています。学校以外の靴作りのやり方を学びたいのであれば、大阪のシューネクストとかおすすめです!ただ、学校は学校のやり方があるので、それを学校の授業でやるのはあまりいい顔はされませんのでご注意を。笑
場所
場所をお伝えしてませんでした。笑
JR宝塚線の新三田駅から、徒歩約7分くらいのところにあります。
オンライン配信で行う卒業製作展示会!
コロナ禍ということで、インスタグラムのライブ配信機能で行いました。
ブログが間に合わず、本日が最終日です。笑
しかーーーし、アーカイブという機能で、ライブ配信の内容をインスタグラムに投稿していますので、ご安心を!見れます!見れますよ!見てください!笑
日時と配信内容
2022.2.11(金)〜2022.2.13(日)の3日間です。
配信時間は3日間全て同じ時間です。また、各30分の配信予定で、「整形靴とは?」を解説しています。そのため、初めの約15分間は、全て同じ内容ですので、靴の紹介をご覧になりたい方は、気をつけてください。
第1部:10:30 ⇦比較的軽度な疾患をお持ちの方に製作した整形靴の紹介(樹脂木型)
第2部:12:30 ⇦クラスメイトに製作した整形靴の紹介(樹脂木型)
第3部:14:30 ⇦製作したい相手に製作した整形靴の紹介(石膏木型)
第4部:16:30 ⇦伝統的な製法で製作した整形靴の紹介(木の木型)
予告動画
YouTubeに予告動画を投稿しています。
内容は、
・1分でわかる卒業展示会の内容
・整形靴ができるまで
・卒業製作ができるまで
以上の3つです。
展示されている靴
準備している時に思ったんですが、生徒が20人以上いるため、かなりの足数になりました!
流石に圧倒されました笑
それでは見ていきましょ〜〜〜!!!詳しくは、ライブ配信の方を是非見てくださいね!
テーマと2年間で製作する靴
今回のテーマは「装健美靴」と書いて、「そうけんびか」と読みます。
整形靴は、足や靴に対してお悩みをもつ方々のための装具であるとともに、ファッションとして足元を装うという側面も持つと考えています。
そのため、「美しい整形靴で健康的に足元を装っていただきたい」という思いを込めて、「装健美靴」というテーマを掲げました!

また、今回はテーマに合わせてクラスみんなで作業を分担し、一足の整形靴を製作しました!
右足は、スニーカータイプのもの。左足は、ビジネスタイプのもの。
スニーカータイプの底付けは、シャーレンボーデンと呼ばれるやり方を採用して、スニーカーっぱさを表現しています。また、白のクサビを差し込むことでデザインで遊んでいます。

ビジネスタイプの底付けは、伝統的な製法を3つ組み合わせることに挑戦しています。
つま先部分:ハンドソーンウェルテッド製法
ウエスト部分:ウッドピン製法
踵部分:ダブルソーンウェルテッド製法

ここで少し、メダリオンにアップしてみたいと思います。

実は、このメダリオンはオリジナルなんです。
どんな意味が込められているかというと、、、

我らが講師のマイスターの特徴であるひげと整形靴科22期生を表す22を意味しています!(ひげに関してですが、現実世界にこのひげをしている人っているんだな〜と思ったのは秘密です。笑)
「整形靴とは?」のコーナー
整形靴とは何かを説明したり、製作の流れを展示しているコーナーです。インスタライブでは、毎回紹介しています!
それはなぜか???
他の靴作りの学校と違った特色が採型をするところにあると考え、そこにフォーカスを当てて解説しています。詳しくは、インスタグラムのライブ配信をご覧ください。

整形靴製作①で製作した靴
比較的軽度な疾患や変形をお持ちの方に整形靴を製作する授業になります。
初めてお客様をお呼びして、足や膝のお悩み等の情報を聞き取りから始まり、靴を製作しました。緊張しつつも、一生懸命に取り組んだのを思い出します。

私の担当したお客様は、扁平足や開帳足がお悩みでした。中敷の方で、横と縦のアーチを適度に持ち上げたり、カウンターをしっかりとしたものを入れることで、アプローチしました。どのくらい持ち上げれば痛みが出ずに効果的なのか等よくわからないことに対して、真摯に向き合いました。
また、デザインの要望でウイングチップが良い!や結婚式にも履いていけるような、普段も使用できるような靴!とのことでした。
結婚式からダイヤモンドの指輪をイメージし、ウイングチップの尖った部分にダイヤモンドのようなものをあしらいました。

こちらの方がわかりやすいかな???
整形靴製作❷で製作した靴
こちらは、比較的重度な疾患や変形に対して整形靴を製作する授業です。
しかしながら、コロナの影響でお客様を呼ぶことができず、クラスメイト同士で靴を製作し合いました。
どこをこうした方が良いなど、より細かいところが確認できたりと、これはこれで勉強になりました笑

今回製作したクラスメイトの方は、登山に履いていけるような靴とのことで、足首のサポートをしっかりさせたいなということで履き口に大きめで厚めのクッションを採用しています(黄色の部分)。また、水の侵入を防ぐための、ウォータープルーフタンを採用しているのもポイントです。あとは履き口の黄色に合わせて、ハーフミッドソールの方にも黄色を採用しつつ、つま先にかけて薄くしてあることで、転がりをつけて歩きやすさを考えています。

インスタグラムに写真まとめてますので、こちらもご覧ください。
整形靴製作③で製作した靴
この授業のテーマは、「挑戦」です。
また、作りたい相手に作りたい靴を作り、材料も自分で好きな材料を用いて製作したりと自由な授業です。

先に紹介した授業と違うのは木型の材料です。樹脂の木型を使っているのが先に紹介した授業で、この授業では石膏を使用します。

こちらもインスタグラムに写真まとめています。
卒業製作の靴
卒業製作の授業では、伝統的な底付けの製法3つ(ハンドソーン、ダブルソーン、ウッドピン)の中から好きな製法を選択し、製作する授業です。
もちろん、整形靴技術である中敷を製作して入れています。

ハンドソーンは経験していたため、ダブルソーンでチャカブーツを製作しました。

インスタグラムの写真集もどうぞ!!!
自主製作の靴
こちらは自主的に製作した靴が展示されています。
ジャパンレザーアワードに出した靴を選択して、展示しました。ジャパンレザーアワードに掲載されたサイトはこちらからどうぞ!

オリンピックとパラリンピックが日本で開催されると言うことで応援の意味を込めて靴を製作しました。
まとめ
2年間で製作した靴を展示する場として、今回オンラインで展示会を行いました。予想よりもたくさんの方々に見ていただけて、整形靴のことも伝えられたと思っています。
本当にありがとうございました!
卒業後は、地元福岡に戻り、義肢装具会社で会社員として働きながら、靴のオーダーを受けていきたいと考えています。現在すでに、数足作り始めています。未熟ながらも、常に自分の持てる技術と知識を活かして、その時の最高の一足を完成させられたらと考えています。コンタクトを取りたい方いましたら、インスタグラムの方からお願いします。
「足のもとめる靴」を実現させるため、日々努力を継続させていきますので、今後ともよろしくお願いします。
それではまた。
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